学校ってどうして変なの?大学職員の日記

学校の文化や制度が変だと、よく言われています。なぜ変なのか、学校の中から考えてみます!

学校運営における絶対的正義とは?

こんにちは。ダーツーです。

 

初めての記事では、私が大学職員に転職して最初に衝撃を受けたお話です。

 

私は新卒で旅行代理店の営業職に就職しました。

旅行の営業なので、新入社員研修から、配属先の先輩・上司から耳にタコが出来るまで言われ続けたのは

「去年と同じことは絶対にするな」

です。

 

まあ旅行だから当然ですよね。

去年行った旅行と同じ旅行に行く人って、ほとんどいないと思います。

毎年沖縄に行く人はいますが、毎年同じホテルで、毎年同じビーチで泳いで、毎年同じお店で食事して、毎年同じお店で買い物する人ってほとんどいないと思います。

同じ沖縄であっても、ホテルを変えたり、食事場所を変えたり、中身は変わるのが普通です。

 

なので、新社会人としては「常に新しい情報を探し」「常に時代のトレンドを追いかけて、それを先駆けて提案する」ことに努めていました。

 

5年間そんな世界で生きてきて、大学職員に転職したら、そこは全くの別世界でした。

 

 

 

学校では、「去年こうだったから、今年も同じようにやる」ことを前提に全ての話が進みます。

 

とりあえず衝撃です。

え?去年と同じことするの?

 

旅行会社で叩き込まれた価値観と違うんだと痛感しました。

とりあえず転職したての若造なので、驚いた表情はしながら黙って話を聞いていると、

「去年こうやって、大きなトラブルもなかった。今年は学年が変わって対象者が変わるから同じことをやる」

という考え方なんですね。

 

旅行会社の時、同じ内容の旅行を複数のお客様に提案していました。

なので同じと言えば同じです。

しかし、この話の本質はそこではありません。

 

「去年と同じことは絶対にするな」という価値観で育つと、思考は自然と未来へ向きます。

まあ当然ですよね。

常に、新しいことを探す癖がつくんです。

 

「去年こうだったから、今年も同じようにやる」という価値観で育つと、思考は自然と過去へ向きます。

こちらも当然ですよね。

常に、去年はどうだったかを調べる癖がつきます。

 

これが5年、10年、20年、30年と続くとどうなるか。

「昔から何も変わらない学校」が出来上がります。

難しい言葉で言えば、「前例踏襲主義」というものです。

 「前例踏襲主義」こそが学校における絶対的正義なんです。

 

 

2020年に新型コロナウイルスで学校に休校要請が出されました。

史上初のことです。

自分たちの学校に限らず、日本中の学校で例がありません。

そんな時、前例踏襲主義の学校では何が起きたか。

「前例(去年どうだったか)がないので、何も出来ない」

という事態に陥ったのです。

厳しく言えば思考停止状態ですね。

仕事は常に「去年どうやったかを調べること」から始めていた人たちですから。

(もちろん全ての学校がそうとは言いません。ただ、こういう状況になった学校が多かった印象です。)

 

これに対し、保護者を中心に

「オンライン授業への移行」「選択登校制」

などが声高に叫ばれましたが、前例がないので、実施に至らない学校が大半なのでした。

学校「前例がないので、模索しているが、すぐには実現できない」

保護者「史上初の緊急事態なんだから前例がないのは当然だ。臨機応変に対応すべきだ!」

学校「適切な対応は何かを検討するには時間がかかり・・・(要は前例がないから出来ないの意)」

保護者「臨機応変に・・・!」

という成立していないやり取りがSNSを中心に散見されましたね。

その学校側の背景(思考プロセス)をまずは整理してみました。 

 

この前例踏襲主義は、学校が変な理由を語る上で、とても重要な価値観なので最初に書きました!

本当にこの価値観は学校で働く人にとって、絶対的正義なんです。

 

ではまた次回!